ちゃ太郎の足跡
気ままの日記
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ちゃ太郎の リスボン日記  11 2009.3.28 

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3月28日 ひる

26→20→15  
この3日間の温度変化。
その上、乾燥と強風。
ということで、ヒジョーに寒い。
Tシャツの観光客は死にそうだ。

リスボンの目の前は、テージョ川(海ではない)。
大西洋に流れ込む手前で、川幅は広い所で15km、狭い所でも2kmはある。
その向こう岸の高い所に、両手を広げたキリスト像。
ブラジルのリオデジャネイロを真似た、110mの「クリスト・レイ」
行ってみよう。
フェリーで渡ればすぐだそうだ。
ところが「カイスドソドレ」という、音階のような所から乗るべきを、
「テレイロドパソ」から乗っちゃった。(2つの乗船所は、数百メートルしか離れていない)
500人は乗れそうな船内に50人程度。
ガイドブックでは「10分で到着」。
だが、着かないどころか「クリスト・レイ」がどんどん遠くなる。
25分後、どこかに着いた。
「バレイロ」という所らしい。
やれやれ、またやっちまったぜ。

折角だから、テキトーにバスに乗ってみた。
だが、フリーパスが使えない。
「ここはリスボンじゃないからね」と、
ドライバーが、初対面なのにニッコリしてくれたが、嬉しくない。
1,3ユーロ(170円)也。
茅ヶ崎駅から、アパート近くのバス停までと同じ値段か。
じゃ、15分位で終点かな。
そのまま40分、どこかの高台の団地に着いた。
風が強いので、広場の土埃がすごい。
マンゴーみたいな松笠が、カラカラ転がっている。マカロニ・ウェスタンか!
パン屋を兼ねた、パステラリアがあった。
コーヒーと甘い菓子パンを注文して、いつもの質問
「ここはどこ?」 
この瞬間が楽しい。
観光地じゃないところは落ちつく。
自分が異邦人であることに、安らぎを覚えるって変?
二度と来ない場所は、特に面白いじゃないか「失敗も成功のうち」。
店のオジちゃんやオバちゃんが、地図とにらめっこで、あーだこーだ。
「どこへ行きたいんだ」とオジちゃん。
「クリスト・レイだよ」
「車か?」 「バスだよ」
「陸路で行くのは難しいから、船着場に戻って、リスボンに帰れ。フェリーに乗り直せ」
「カイスドソドレか?」
「そうだよ、よく知ってるな。そこからフェリーに乗れ」
「わかった、ありがとう」
というような会話・・・だったと思う。
たぶん。
このオジちゃんと一期一会の会話、いいねぇ、うれしいねぇ。
この団地は「シダーデ・ド・ソル(太陽の町)」らしい。
バス停で寝ている犬もカワイイ。
「クリスト・レイ」なんて、どうでもいい。
この会話、この犬が旅の宝物だ。

帰ったぞー、リスボン。
いつも通る市電のルートに、国立古美術館があるみたい。
美術に興味はないが行ってみようっと。

あっ、またやっちまった。
美術館だと思っていた建物は、国会議事堂だった。

すぐ近くにエストレラ聖堂がある。
外からは何十回も見たが、入ってみるか(タダだし)。
正面から入り、次の大きなドアの向こうが高さ30mの礼拝堂ドームらしい。
横を見ると、小さなドアが開いている。
正面よりも側面を好む、マニアックな性格。
当然こっちだろ。
横の通路を入って行くと、正面に小さな部屋。
何かやってる。
覗くと、こじんまりした、でも美しい礼拝堂みたいだ。
神父さんが話をし、20人くらいが聴いている。
やったぞ、ミサだ。
ドアの近くの女性が、チラッとこちらを見たが、すぐに正面に向き直った。
みんな黒っぽい服を着ている。
神父さんの前の長い箱には白い布……エッ!本物の葬式?
目頭をおさえて、泣くふりをして横のトイレに。
でも、バレバレか、赤いシャツにGパンじゃぁね。
正面に戻り、礼拝堂ドームに入った。
とても立派で、厳かだが、本物の葬式には敵わない。
見ず知らずの方の冥福を祈る 観光客であった。

香港の中年(?)姉妹のとなりのテーブルで昼食。
「味はどう?」と、小声で聞かれて
「うまいけど、少し塩っぽい」「こっちも、そう」
「これからどこへ?」「サン・ジョルジュ城へ」
「寒いから気をつけて」「ありがとう」
アドバイスしちまったぜ。

闘牛場へ行ってみた。
昨日の「カンポ・グランデ(大きな畑)」の近くの「カンポ・ぺケーノ(小さい畑)」にある。
シーズンは4月~10月なので、今はやっていない。
赤いレンガのロシア正教会か、トイザラスみたいで、少し笑える。
中の通路から天井が見えた。
エッ、太陽の下でやるんじゃないの?
ガードマン以外は、誰もいない(当然か)。
あれ、地下がある。
降りてみよう。

なんじゃ こりゃ~~~~。

人・人・人・人・人 ひとでいっぱい。
大きなフードコートに、ショッピングモール、映画館もある完全なアミューズメントスペース。
100年以上前の建物の下を、開発商業地域にするとは
「黄昏の国」の看板を下ろしてもらおうか(そんな看板は上げてない?)。

2年前に滞在したホテルは、この近くのはず。
その目の前にグルベンキアン美術館がある。
美術に興味がないので(しつこいですか?)2年前には行かなかったが、行ってみよう。

超大金持ちの石油王、グルベンキアンさんが集めた、世界中の宝物があるらしい。
4ユーロ(500円)安い、さすが金持ち。
6時までという事は、1時間半か、ザッと見るだけだから充分だろう…って、
あるわあるわ、どんだけー!!
個人のコレクションだから、趣味が片寄っているが、その分徹底している。
エジプトの出土品を前菜に、ペルシャのカーペットの洪水、
一つだけでも建売が買えそうな、やきものがズラリ。
東海道五十三次も、ひと揃えある(らしい)、見事な細工の印籠(INROと書いてある)が、
夜店の陳列のごとくに並んでいる。
蒔絵の小箱もズラーリ。
これが、ここにあることが悔しい。
政治家さんよ、名所、旧跡と宴会の「研修旅行」もいいけど、ここにいらっしゃい、ここに。
別棟は、文化施設になっている(「ダーウィン展」をやっている)。
コンサートホールも2つあるし、野外劇場もある。
財団は、オーケストラと合唱団も持っている。
日本の財団よ、まろは口惜しいぞよ。
オーケストラのコンサートは4000~2000円。
フィラデルフィア管弦楽団の公演も、日本では2万円、ここでは6000円だってさ。
お金持ちは、気前がいいねぇ。スシ食いねぇ。

オ~~、外は木枯らしだぜ。